接客サービス職だからこそ必要な採用基準の設定方法と7つの項目例

「現場からは『できるだけたくさんの新入社員を配属させてください!』と要望が来ているけれど、ここ数年の採用環境悪化で、接客サービス職を志望してくれる学生は「奪い合い」状態。この際「誰でもいいから面接に来てくれたら即内定を出すのに…」とまで言いたくなってしまう」

こんなお悩みを抱える、流通・外食・ホテル・アパレルなどのサービス業界の企業様は少なくありません。しかし、「とにかく入社してくれさえしたら何とかなる!」では、結果的に離職率が高くなり、お客様の評価が下がり、会社の成長戦略が描けなくなることに繋がりかねません。

採用基準を明確化する目的

採用が難しい環境のときこそ、しっかりとした採用基準を打ち出し、会社の方向性と、どのような接客がしたいかというポイントが合う学生を採用することが必要です。

ひとくちに接客・サービス業と言っても、お客様とのかかわり方、その後のキャリアステップ、求められる能力まで、多岐にわたります。「何となく理解している」と、学生も企業側も考えているだけに、その点のすり合わせが他の業界・職種よりも少ない傾向は否定できません。

採用基準は、「このラインから上の人を採用し、下の人は不合格にする」という面接官のためのものではありません。学生に「広報」するべきものだと考えてください。

採用基準例

接客・サービス業にとって、より重要度の高い採用基準を例としてご紹介します。

それぞれ、性格・能力・価値観という、人それぞれ持っている仕事の適性を判断するうえで欠かせない要素からピックアップしました。

大まかに分けると、「〇〇性」とついているものが性格、「〇〇力」とついているものが能力です。

価値観は、その人が「大切にする考え」を表します。

主体性

「明確にやるべきことがあり、それに対して自ら動く習慣が身についている」ことをしっかりと評価しましょう。ゼミ長や部長といったわかりやすいところ以外でコツコツ取り組んできた学生は、自己評価が低い場合があります。その学生が持つ「主体性」を、面接の場で一緒に掘り起こすことで、学生の納得度も向上します。

志向性

採用基準としての志向性とは、自分の意識を対象に対して向け続けることです。たとえば「ブランド」をカタチ作る要素として、接客は非常に重要です。立ち居振る舞い、声の出し方一つに常に意識を向け続けることができるかどうかは、サービスによっては非常に重要な基準となります。

競争心

競争心というと、「営業職」に必要な基準として学生は認識しがちですが、接客・サービス職にももちろん大切な基準となり得ます。接客・サービス業に応募する学生の多くは、エントリーシートで不合格になることが少ないため、自己PRについてしっかりと考える機会がほかの業界を志望する学生よりも少なくなります。どんな大学生活を送ってきた社員が実際に活躍しているのか調べると、意外と多いのがこちらの競争心が強いという特性を持った方ではないでしょうか。

企画力

店舗のレイアウトや仕入れ点数、お客様へのメール文面やキャンペーンのご案内状作成など、入社したばかりの若手社員にも「企画力」を発揮してもらえるシーンがたくさんある企業様であれば、ぜひ企画力についての判断基準を積極的に公開してください。「個性を発揮したい」という学生は少なくありません。

共感力

接客ということで、「コミュニケーション能力」をもっとも大切な基準とする企業様は多いのですが、コミュニケーション能力は判基準として幅が広く、お客様とのやり取りのなかで必要なコミュニケーション能力というよりも、「同じお店で働く仲間とのコミュニケーション能力」を面接官が重視しがちな傾向があることに気を付けてください。

コミュニケーション能力を細分化したもののひとつに共感力があります。ただ共感してみせる「スキル」ではなく、生来持っている性格的な要素としての共感力、あとから身に着けるのが難しい「センス」として持っているかを確認しましょう。

対応力

さまざまなお客様、どれだけ準備していても起こるトラブル、接客サービス業のプロフェッショナルとして、やはり強みになるのは対応力。経験を重ねていくことで身についていく力ではありますが、「いざという時」に逃げずに、しっかりと立ち向かう基礎の力が身についているかはチェックしておきたい項目です。

商品愛

商品やサービスに対して、お客様の多くが愛情を持っているようなお店や企業であれば、従業員はお客様以上の「商品愛」を期待されます。学生も同じように「商品が好きなので」という志望動機を用意しますが、それだけが理由の場合、仕事との適性に課題があることがあります。

中途採用における採用基準

新卒の採用基準に加えて、中途採用の場合は注意すべき項目があります。

これまでの実績

同じ接客・サービス業を経験した方の場合、「それなら安心」と、これまでの経験について面接でしっかり聞きださないケースがあります。

中途採用の合否判断は、「第一印象」に左右されないように実績について詳細にヒアリングしましょう。

前職の退職理由

退職理由について、転職してきたとしても叶えられないときは、しっかりと面接で伝えましょう。(例えば、「すぐに企画をやりたかったので」←自社でも入社直後の配属はない。数年現場経験のあとといった内容)入社後のミスマッチを防ぐために大切です。

流通・サービス業は、今後ますます「優秀な人材の奪い合い」が加速するでしょう。求めるレベルも、外国人対応できる語学力や、高度な「おもてなし」の体現など、高くなっていくことが予想されます。

求める人材を明確に打ち出し、理想に近づけるための創意工夫をしていることを訴求するお手伝いはぜひCAキャリアにお声がけください!

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2018.11.29