新卒採用の説明会コンテンツ、そのままで大丈夫ですか?

新卒採用の山場のひとつ、会社説明会。その会社説明会のコンテンツは、いつ、どのように作成されたものですか?

「以前の採用担当者が作成したものに、日付や売り上げのデータを差し替えて最新版にして使っているパワーポイントを利用していますよ!」という企業の人事採用担当者様、要注意です。その会社説明会コンテンツ、本当に採用の役に立っているのでしょうか?

そもそも会社説明会で「説明すること」とは?

改めて、「会社説明会で、学生に説明しなければならないコンテンツとは、何ですか?」と質問されたら、どのようにお考えになるでしょうか。

まずは「会社説明会で企業が学生に伝える内容」について整理してみましょう。まずは箇条書きで「よくあるコンテンツ」をご紹介します。読みながら、「自社の会社説明会ではどの部分に重点を置いているだろうか?また、不足している部分はないだろうか?」と考えながらチェックされてみてください。

  • 業界概要(業界の基礎知識、業界の歴史、業界の課題、業界の展望など)
  • 事業内容(自社の事業内容、自社の業界内での位置づけや強み、商品説明、取引先など)
  • 会社概要(会社沿革、展開地域や子会社、社是、財務状況、業績推移など)
  • 仕事内容(募集職種、仕事の流れ、業務に必要な知識やスキル、キャリアパスなど)
  • 募集要項(給与、休日休暇、福利厚生、勤務地など)
  • 応募要項(選考ステップ、内定時期の目安、今後の連絡方法など)

だいたい大きく6つに分けて考えてみましょう。不足はありませんでしたか?

ほとんどの会社で、以上の6項目に関して、何らかの情報開示がされていることがほとんどです。問題は、その「バランス」。それによって、学生の理解度、満足度、志望度への寄与が変わってきます。

まずは事業内容を詳しく説明するんですよね?

「学生に自社を理解してもらい、説明会に参加したことで志望度合いを上げていただくために、もっとも大切な内容は何だと思われますか?」と質問すると、真っ先に人事採用担当者さまが挙げられるのが、「事業内容」です。

単に自社の事業内容だけでなく、業界に関する説明から始まり、マーケットを取り巻く状況や問題点、未来に対する課題まで、場合によっては「自社の説明」部分よりも多くの時間を事業内容を紹介しているつもりで「業界概要」について時間を使っているケースも多く見受けられます。

特に、BtoB企業様に多い傾向です。「学生には認知度が低い業界・商品だから、まずはその魅力について知ってもらいたい」と考えて、詳細に自社の商品・サービスについて説明すればするほど、その後の面接ステップで、「本当にこの学生さんはウチの仕事がわかっているんだろうか…」という結果になることも珍しくありません。

また、BtoC企業様でも、「仕事内容はよくわかっているはずだし、むしろ同業他社との差別化について説明しておかねば」と事業内容の説明に力を入れられていることが多いです。そうすると次の面接のステップで、学生が口にする志望動機が、横一線で「他社との違いをあげているだけ。本当にそれが自分にとって大切な志望動機なの??」という状態になってしまいます。

よくある「ミスマッチパターン」

具体的に例をあげてみましょう。

とあるIT企業A社様。情報系学部の学生だけでなく、文理不問でSE・プログラマを募集しているため、今までITについての知識がない学生でも理解できるようにと、ソフトウエアとハードウエアの違い、IT産業の歴史、IT企業内での役割の違いなどについて、説明会の半分の時間を割いて学生に知識を伝えてきました。

「私たちの開発したシステムが、社会の基幹産業を支えています。社名は表に出ませんが、絶対にミスが起こってはいけないという責任感をもてることが私たちの誇りです」と、メッセージを送っています。仕事内容には、開発・設計もありますが、一人ひとりの社員が取り組む仕事は、開発したシステムの保守・管理が半分以上を占めるため、お客様先で常駐し、次回のご要望をお伺いしたり、クレーム対応したりする「接客」的な要素も求められます。

ところがA社への志望動機は「社会を影から支える仕事がしたい」という内容のオンパレード。実質的に、「職人的な仕事がしたい。対人コミュニケーションを求められないような会社がいい」という人が圧倒的に多くなってしまっていました。「事業の性質・役割」と、「その会社の社員が求められる性質・役割」を混同してしまったことによるミスマッチです。

会社説明会で伝えなければならない最も大切なこと

それは「仕事内容」です。その会社の社員ひとりひとりが、具体的に「何を」「誰と」「どのように」「どんな場所で」「どれくらい」「どんなスキルを得て」行っているのか。

「社員の半分はこの仕事をしていますよ」というメインの職種については、特に念入りに伝えなくてはなりません。たまに、営業、管理、開発、製造、経理、財務、総務、広報、人事・・・と職種ごとに等分のボリュームで説明されるケースがありますが、一番大切なのはメインの職種のはずです。

「あなたは、この会社に入ったらこんなことをします。それを面白そうだとおもえる人はこんな人」という動機付けができるかどうか。

また、ここに誤解があると、入社後の離職率が高くなってしまいます。

貴社の会社の説明会、時間配分の半分は「仕事内容」になっていますか?なっていないなら、早急に見直しが必要かもしれません。

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2018.08.07