高い辞退率は改善できる?内定者フォローのメリットとデメリット

説明会を開催してもなかなか動員が増えない、これはという人材はほんの一握り…。そんな企業が年々増加しています。また、応募人数が多くても辞退率が50%を超えるようなケースでは手間と時間、コストが見合わないという問題があります。高い辞退率を改善するために、内定者フォローに力を入れる企業が増えていますが、そのメリット・デメリットについて、自社に置き換えて検討されたことはありますか?

内定者フォローの目的を考える

なぜ内定者フォローをするか、という目的は企業によってさまざまです。まずはその目的について会社全体で把握することが必要です。

内定後の辞退率を下げたい

もっとも多い目的が内定者のモチベーションを入社まで維持することです。また、10月1日など、内定式が多く開催される日にきちんと自社に足を運ぶか、公務員と併願されることが多い企業の場合、地元の公務員試験一次試験日に集合をかけることで「踏み絵」をするというケースもあります。

「拘束」を強めることで、内定者がかえって不安を感じることもありえます。コンテンツの量ではなく、質を高めることが大切です。

同期入社同士の交流を持たせたい

入社後は全国の支店に1,2名ずつ配属になるから、同期同士の交流が深められるのは内定者のときだけ…こんな企業さまでお考えになられる目的です。

しかし、裏目にでてしまうこともあります。「1名だけ採用できた高学歴内定者が、ほかの同期入社者の大学名を知り、本当はもっと上を目指せたのではと就活を再開してしまった」というケースがありました。

入社後の研修期間を減らしたい

マナー研修や商品知識、会社の歴史や組織構成など、社員として最低限必要な知識や、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーのような業務に直結する資格取得を学生のあいだに身に着けてもらうことで、入社後の研修期間を短くする目的です。

こちらも、あまりにもハードルの高い研修内容や、無休アルバイト状態の研修などでは辞退率が上がってしまう恐れがあります。

入社後の配属の参考にしたい

面接時の面接官や人事だけでなく、現場の管理職や部門長などが人事権を持っている企さまで検討するのが「面接以外のリラックスした状態で、どの学生をどの部門や支社に配属するか見極めるため」に内定者の時期に管理職と交流を持たせる目的です。

会社の忘年会などに呼ぶこともあるようですが、あくまでも内定者は「お客様」という意識を忘れずに対応しましょう

翌年の新卒採用のために内定者を活用したい

最近増えてきたのが、翌春の新卒採用フォロー目的です。仕事の多い若手社員ではなく、内定者を使って新卒採用の説明会などでの質疑応答や学生フォローをするという方法です。

就職試験や志望動機についてなど、内定者のほうが質問対応しやすい項目もありますが、答えられない項目のほうが多くなる、ということはしっかり認識しておかなければなりません。

内定者フォロー研修を導入するなら役割分担を!

内定者フォローをする「提供者」について考えることも大切です。できること・できないこと、得意なこと・不得意なことを把握せずに「役割名」だけをつけてしまうとメリットどころかデメリットでしかありません。

「他社では若手社員がメンターという役割を担うらしい…ということで入社2年目くんたち!よろしくね!」

「(…え?メンターってそんなの僕らになかったけど…どうしたらいいの…?ていうか仕事忙しすぎるんだけど…)退職します!」

こんなことになっては本末転倒です。

内定者フォローを担当する「提供者」ごとのメリット・デメリットも確認しましょう。

人事部員

内定者フォローの中心となる人事部員ですが、人事の言動と現場社員の言動に乖離があると、入社後の違和感が増大する危険性があります。交流の時間が増えれば増えるほどよい、というケースは意外と少なかったりします。

現場の若手社員

若手社員は内定者にとっても身近に感じやすく、良き相談相手として有効に影響すれば大きな戦力ですが、個人の資質にばらつきがあるという点で大きな問題を引き起こすこともあります。特に、自分たちはフォローを受けてこなかった世代を起用するときは注意が必要です。

配属予定の上長

入社後のスムーズなコミュニケーションを図るという点で非常に有効ですが、現場の同意が得にくいという難点があります。また、人事との普段からのコミュニケーションがあるかどうかが成功の可否に大きく左右します。

代表

カリスマ的な魅力をお持ちの代表や、一般的にも著名な代表だけが内定者フォローに有効なわけではありません。「社長自らが、こんなにきちんと人材育成に力を入れているんだ」という印象を持ってもらうことが大切です。ただし、内定者フォローの重要性をご理解いただいていない場合は逆効果になることも。

外部研修講師

マナー研修、ビジネス基礎研修などは外部講師を利用することで、研修知識の均質化・安定化を図りやすいというメリットがあります。デメリットはもちろん「講師」の力量の差です。派遣されてくる講師の質を確認することが大切です。

まとめ

「内定者フォローに力を入れさえすれば辞退率が大幅に改善する」わけではありません。自社に合わないやり方を導入することで、かえって辞退率が上がってしまった、という悲しいケースも見聞きします。

自社が持っているリソースを、ほかの企業と比較して考える必要があります。自社の「普通」が一般的な「普通」かどうかは、長くお勤めの社員の方ほど、わからないものです。

採用活動は企業が学生を比較するのと同時に、学生が企業を必ず比較しています。それは内定者になっても同じことです。客観的な視線で「自社のリソース」を検討してみたい、とお考えなら、ぜひCAキャリアにお声がけください!

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2018.11.28