内定者はお客さま?それとも社員扱いをすべき?社内の意思統一はできていますか?

企業側にとって採用環境が年々厳しくなるなか、辞退率を下げ、入社後のモチベーションアップを期待して、内定者フォローのコンテンツを増やす企業様が増えています。

それに伴って、内定者と入社までの期間、学生と接点をもつ機会が増加することになります。

その「接点」が増えることで、かえって辞退率が上がってしまう危険性があるとしたら、怖いですよね。

今回は、「内定者の期間中、学生に対しての対応の仕方の基本方針」をどのように決定するかについてご紹介します。

学生の満足度が高い内定者フォローとは?

まずは、内定者がどのようなフォローコンテンツに入社意欲が高まったか確認しましょう。

株式会社ディスコのキャリタスリサーチ調査「調査データで見る「内定者フォロー」2017」より、「入社意欲が高まったフォロー」についての調査結果です。

内定式よりも上位に来たのが、社員との懇親会です。

実際にあったフォローとしては、1位が内定式(81.8%の実施率)であったことと比較すると、社員との懇親会で学生ひとり一人と社員が直接交流することがいかに大切かということがわかります。

内定者フォローの問題点

「内定者フォローの重要性は理解しているけれど、来期の新卒採用のインターンシップに学校訪問、合同企業説明会にも参加を増やす予定だし、いったい誰がどうやってフォローすればいいのだろう…?」

採用に関連するマンパワーの不足は、内定者フォローに関しても大きなお悩みとなります。

先ほどご紹介した、株式会社ディスコのキャリタスリサーチ調査「調査データで見る「内定者フォロー」2017」では、企業だけでなく学生側にも内定者フォローに関する調査を実施しています。

それによると、内定者をフォローするうえで悩んでいることの1位は、スタッフの不足(46.0%)でした。前年と比較し、6%伸びていますが、おそらくこの調査時点よりも、今年はさらにスタッフ不足に悩まれている企業様の数は増えていることが予想されます。

学生の満足度が高いコンテンツが「社員との懇親会」であるにもかかわらず、それに対応できるマンパワーは不足している、という厳しい現状がうかがえます。

最小の回数で、最大の効果を

社員との懇親会は「場」だけセッティングして、あとは当日それぞれに任せる…という今まで通りのやり方ではなく、目的をもって設定してみましょう。

その際に必要となるのが、懇親会に出席する社員、経営者をふくめた社内の意思統一です。

学生はお客様?それとも社員扱い?

「学生をどう扱うかなんて、今まで考えたこともなかった」という方も多いのではないでしょうか。これは、どちらが正解ということではありません。社内で、きちんと意思統一をするという点が重要です。

「社員それぞれ、人事、社長、みんな言うことが違う…」

こんな印象を持たれてしまうのは、マイナス効果でしかないのです。

ある「ちょっとした不注意」のケースをご紹介します。

受付で「来客」と書かれたIDカードを手渡された内定者。
採用担当者:「社内に入室いただく際は、IDカードを必ず首にさげてください。社内のセキュリティ保持のために非常に重要になります!」
内定者:「緊張しますね」

懇親会で会った社員が、IDカードを下げていないのに気が付いた内定者。
内定者:「社員の方は、皆さんIDカードは社内で使わないのですか?」
若手社員:「鍵の代わりなので、なくさないようにお財布に入れてるんだ!~つけろっていわれているんだけどね。」
内定者:「(…社内のルールが徹底されていないのかな?内定者には厳しく言っていたのに…)」

若手社員としては、「内定者はもう身内だから」と気楽に社内の「ルール不徹底」を悪気なく内定者に伝えてしまっています。それに対して、人事はきちんと外来者に対して規定通りの手続きをしました。

ほんの些細なことですが、こういった「ウチとソト」とのつかいわけを何度も見聞きしてしまうことで、学生は徐々にその企業に対して不信感を抱くようになってしまうことがあります。

「内定者と、社員に対する態度が違う」
「人によって、社内のルールや決まりに対して言うことが違う」
「ほかにも、入社したら言われていたことと違う、ということがあるかもしれない」

せっかくの社員との接点で、このようなイメージを持たれないためにも、「学生に、この会社をどう思ってもらいたいのか」という点を周知しておきましょう。

学生への対応スタイルをどちらに統一するかについてですが、時期を目安に変化させる、という方法がおすすめです。

早期に内定出しをして、大手企業の内定解禁までまだ時間があるときなど、第一志望企業として本当に意思決定しているか判断がつかない時期であれば、「お客様」として接する方が好感度が高くなる傾向がありますし、10月1日の内定式以降であれば、「社員の一員」として接する方が親近感を感じてもらいやすいでしょう。

どちらにしても、内定者と接する社員が全員共通認識を持っているということがいちばん大切です。

高い辞退率は改善できる?内定者フォローのメリットとデメリット

2018.11.20