第一印象の重要性と、第一印象をよくするポイント、おすすめの改善方法をマナー講師がご紹介します

その人の印象を左右するかもしれない第一印象。日常生活はもちろん、ビジネスシーンでも第一印象は重要性が高い要素です。とはいえ、自分の第一印象が悪いことに気づいていない人や、第一印象を良くする方法が分からない人も少なくありません。

ここでは、第一印象の重要性とともに第一印象を良くするポイントを解説しています。第一印象が悪いと言われがちで悩んでいる人や社員を持つ人も、ぜひ参考にしてください。

第一印象の重要性

第一印象とは、初めて人と会ったときに抱く印象や雰囲気です。実は、第一印象がその後の人間関係の形成にも深くかかわっています。心理学ではポーランドの心理学者「ソロモン・アッシュ」が提唱した「初頭効果」と呼ばれ、第一印象がその後のその人の評価や雰囲気、好意を決める重大な要素であると分かっています。

例えば、第一印象が良かった人なら、その後その人が何か失敗してしまっても評価も好感度も下がりにくく、逆に失敗がその人の好感度をより上げるきっかけになる場合もあります。一方で第一印象が悪かった人が、その後何か失敗してしまうと第一印象通りと思われ、さらに評価や好感度が下がってしまいやすくなります。

メラビアンの法則とは?

アメリカの心理学者「アルバート・メラビアン」は人間の感情やコミュニケーションに関する研究を多く行ってきました。その研究の中で提唱されたのが「メラビアンの法則」です。

メラビアンの法則とは、「第一印象は人が出会ってから数秒で決まる」ことに加えて、「第一印象は外見や態度などの言語以外の要素が重視されやすい」と、第一印象での法則を提唱したものです。メラビアンの法則の元になった実験では、初対面の人と接した場面において、言語、視覚、聴覚で矛盾した情報が与えられたとき、どの要素を優先して判断しているかを調べました。その結果「視覚が55%、聴覚が38%、言語が7%」となり、視覚が第一印象を決める最重要な要素であると分かったのです。

メラビアンの法則では第一印象を決める要素として、話の内容よりも外見、態度、声の調子、身振り手振りといった外見的要素や特徴が重視されやすいと提唱しているのです。つまり、メラビアンの法則に則ると外見・態度・話し方の要素に注意すれば、第一印象を良くすることも可能になります。次に、メラビアンの法則にしたがった、外見、態度、話し方に加えて話の内容それぞれの、第一印象を良くするポイントを見てみましょう。

【外見】第一印象をよくするポイント

第一印象を決めるポイントとして一番重要と言っても良いのが「外見」です。第一印象を良くするための外見のポイントを見てみましょう。

笑顔(表情)

初対面の相手に対しても、笑顔を向ければ好意的な気持ちを持っている、とアピールできます。逆に無表情では捉えどころのない、冷たい人という印象を与えてしまうためマイナスです。ビジネスシーンでは、接客応対をするときには親しみやすい笑顔で、名刺交換や挨拶をするときには口角を上げた表情にする、などシーンに合わせて好意的な表情で接するようにすると第一印象を良くするのに効果的です。

身だしなみ

ビジネスシーンに合った、清潔感のある身だしなみは第一印象を決める上で重要です。男性の場合はひげを剃り、女性は華美にならないビジネスシーンにふさわしいメイクを心がけましょう。男性女性共通のポイントとしては、清潔感のある髪型を心がけて男性は短くさわやかな髪型に、女性はショートか長い髪の毛ならだらしなくならないようにまとめるなどします。爪は短く、服やくつには汚れやシワがないようにしましょう。

【態度】第一印象をよくするポイント

せっかく外見が美しくても態度が悪いと第一印象は悪くなってしまいます。外見と同じく、態度も第一印象を決める上で重要なポイントです。

姿勢をよくする

態度を決めるポイントのひとつに姿勢を正すことがあります。背の高い人がなりやすい猫背や、壁に寄りかかる、頬杖をつくなどの姿勢は相手への印象も悪くなります。ビジネスシーンも含めて、背筋を伸ばしてまっすぐ立つのが、美しい姿勢への第一歩です。

立っているときには壁にはもたれかからず、足は肩幅以上には開かないようにしましょう。座っているときには、背筋をのばしていすと自分の背中の間にこぶし一つ分のスペースを意識すると美しい姿勢が保てます。さらに、足を組んだり、開きすぎたり、頬杖や腕組みをしたりしないように、手は膝の上に置きます。

ほどよく相槌を打つ

相手と話すときの態度も第一印象を決める上で重要です。話し上手は聞き上手という言葉もあるように、相手の話を聞いているときには適度な相槌を打つようにしましょう。相槌は話をしている相手に対して、きちんと話を聞いていることを示すだけでなく、同意や共感などのサインとしても表せます。相槌を打つことで、話をしている相手に安心感を与えられるため、第一印象も良くなります。

表情

会話をしているときの表情にも注意すると、より相手に良い印象を与えられます。ビジネス上の会話をしている時でも、相手が場を和ませるために冗談を言ったり、面白い話をしてくれたりする場合もあります。その時には笑顔になる、微笑むなどの表情での態度を見せると、相手は「自分の冗談が受け入れられた」と安心するため、良い印象を与えられます。

また、クレームをいただいたお客様に初めて会う場合は神妙な表情で話を聞く、お詫びをするお客様に初めて会う場合は申し訳なさを込めた表情をするなど、相手に対してどんな気持ちを持っているかを表情で表してみましょう。特に初対面では相手の感情や腹積もりが分からないためお互いに不安になりがちですが、自分の気持ちを表情で表せるようになれば、相手に安心感が与えられ、良い第一印象につながるのです。

【話し方】第一印象をよくするポイント

メラビアンの法則では、「視覚」が第一印象を決める重要な要素とされていました。ところが、「聴覚」も38%と視覚に次いで第一印象を決める重要性を持っています。相手の聴覚に大きな影響のある、話し方で第一印象を良くする3つのポイントを見てみましょう。

落ち着いたトーンで話す

人間独特のコミュニケーション手段である「言葉」は、伝え方によって印象を大きく左右します。例えば、早口でまくしたてるように話すと落ち着きのない、せっかちな印象を与えてしまうことになりますが、落ち着いたトーンで話せば、温和で親しみやすい印象を与えられます。さらに、落ち着いたトーンで話すと、相手は話を聞き取りやすくなりますので、初対面の相手でも自分の言いたいことを伝えやすくなるメリットもあります。

相手の目を見て話す

「目は口ほどに物をいう」のことわざがある通り、視線は感情や相手への気持ちを表すバロメーターとしても用いられます。もしも相手と話すときに目をそらしていると、相手に関心がないだけでなく、自信がないとも取られてしまいがちです。相手と会話するときは、話すときも、聞くときも相手の目を見るように心がけましょう。

とはいえ、初対面の相手の目を見るのが恥ずかしい、と感じる人も少なくありません。「目」以外の鼻や眉間、額など目以外の箇所で視線を移すのが苦手でない場所に視線を移すのもおすすめです。さらに、ずっと相手の目を見ていると逆に圧迫感を与えてしまうことがあるため、「ずっと目を見ていなくても大丈夫」です。視線を外すときは横にサッと話すのではなく、上下に少し動かすと悪い印象を与えません。話の内容で重要な部分だけ目を合わせれば大丈夫、と気分を楽に持つと、初対面の人とも少しずつ目を合わせて話せるようになります。

挨拶をする

初対面同士でも取れるコミュニケーション手段が挨拶です。初対面の相手に対しては、自分から積極的に挨拶をすると、良い印象を与えられます。会った時には「おはようございます」「初めまして」「いつもお世話になっております」、別れるときには「ありがとうございました」「本日はお時間をいただきありがとうございました」「今後ともよろしくお願いいたします」などの挨拶をしましょう。

【話の内容】第一印象をよくするポイント

せっかく外見や話し方で良い印象を与えていても、話の内容がちぐはぐだと相手に不快感や不信感を与えてしまいます。第一印象における大切な話の内容のポイントを見てみましょう。

丁寧な言葉遣いで

言葉遣いが悪いと相手に粗雑、乱暴な印象を与えてしまいます。話の内容にも説得力がなくなってしまうため、丁寧かつ正しい言葉遣いを心がけましょう。基本は「です・ます」調の丁寧語で、親しくなってもタメ語は使わない、敬語を正しく使うなどです。さらに、ビジネスシーンでは方言も標準語にして話すようにしましょう。

自分から自己紹介する

初対面ではお互い緊張、かつ相手の人柄や性格が全く分からない状態のため、警戒をしていることも少なくありません。警戒心を解くために、相手の出方を見るのではなく自分から進んで自己紹介をしましょう。自らのことをすすんで相手に明かすことで、相手も警戒心や緊張を解いてその後のコミュニケーションが取りやすくなります。

自分だけの話をしない

一方的で独りよがりな話し方は、相手も聞いていてつまらなく感じてしまいます。自分のことばかり話すのではなく、時には聞き役に回ったり、自分のことを話しながらも相手に共通した話題がないかを探るなどしたり、双方で会話のキャッチボールができるように心がけましょう。

もしも、相手が緊張しているなどで自分ばかりが話している状態が続いていたら、今まで話した内容で気になる点はなかったかフィードバックをするのも有効です。

また、可能なら初対面の相手や相手の会社に関する情報を事前に仕入れておけば、こちらから相手の興味のある話題を投げかけるのに役に立ちます。例えば、「御社で新商品を出すと伺いましたが、どんなものかお聞きしてもよろしいでしょうか」「釣りが趣味とお伺いしていますが、実は私の父も釣りが趣味で、定年後は自宅近くの海で毎日釣りを楽しんでいます。父に○○市で良い釣りスポットがないか聞かれていますが、おすすめのところを御存じでしょうか?」などです。

社員・スタッフの第一印象をよくするためには

第一印象はその後のその人の印象や評価を決める上で重要なポイントであると分かりました。特に、社員やスタッフの第一印象は、会社や店舗そのものの印象と取られます。社員やスタッフが初対面の顧客にも良い第一印象を与えられるようにするには、企業での取り組みだけでなく、プロの研修講師によるトレーニングも効果的です。オープニングや新規事業など、大切なシーンに合わせて第一印象を良くするトレーニングを実施すれば、より顧客に企業や店舗の良い印象を与えられるでしょう。

記事の監修者

マナー講師:陣内 ちはる

マナーをはじめ、スマイルトレーニング、アンガーマネジメント、マインドフルネスの研修講師を務める。女性向けの自分磨きスクールも主催するなど、個人のウェルビーイング、組織のコミュニケーションビルディングを目指し、多方面で活躍中。

・アンガーマネジメントコンサルタント™️
・マナー・コミュニーション講師
・マナー・プロトコール検定(文部科学省後援)準一級

詳しいプロフィールや実績はこちら⇒