メールにおけるビジネスマナーの基本と例文・注意点まで

ビジネスシーンならではのメールの書き方や送り方に悩む人は実は少なくありません。ここでは、知っておきたいメールにおける基本的なビジネスマナーに加えて、例文や注意点、困ったときの対処法を解説しています。ビジネスマンにふさわしいメールを送れるように、ぜひ参考にしてください。

意外と知られていないメールにおけるビジネスマナー

メールはビジネスシーンにおけるコミュニケーションツールのひとつとして、一般的に活用されています。ところが、日本社会でインターネットが普及してからまだ20年ほどしか経っていません。

つまりメールは比較的新しいコミュニケーションツールのため、手紙や会話と比べると、マナーが軽視される傾向が見られます。メールが生活の中で当たり前になった若年層は、ビジネスとプライベートのメールの使い分けができなかったり、ミドル層はメールの使い方自体に慣れていなかったりします。

また、文字による一方的な連絡なので様々な弊害もありますが、多くのメリットもあるので、上手に活用することが大切です。

ビジネスメールの書き方

ビジネスメールは件名、本文、署名から構成されています。それぞれのビジネス上での適切な書き方を解説します。

件名

ビジネスメールにおいて件名は、内容を把握する上で大切な「顔」の部分です。件名を見ただけで内容が分かる、件名をつけるのがポイントです。

  • 20文字以内にまとめる
  • 「12/20○○会議の件」など、日付、内容などを含める
  • 「お見積りご依頼」など、メールを送信した目的が分かるようにする
  • 【再送】など、緊急性や重要性の高いメールは【】を使う

本文

ビジネスメールの本文は、宛名+挨拶+内容で構成されます。文書と異なり、ビジネスメールは内容を簡潔にまとめるのがポイントです。

  • 迷惑メールや間違いメールとの区別のため、一行目に宛名をつける。
  • 冒頭と結びの挨拶は簡潔に。
  • 挨拶の後にすぐ本題に入る。

署名

メールの送信元が一目で分かるように署名をつけます。以下の7つの項目を入れましょう。

  • 会社名と部署名
  • 名前(読みにくい場合は読み仮名も一緒に記載すると良い)
  • 会社の住所(郵便番号と建物名も入れる)
  • 電話番号
  • ファックス番号
  • メールアドレス
  • 会社のサイト名とURL

また、署名の最後に会社の営業時間や臨時休業など、メール送信者へ共通してお知らせしたい事項を適度記載しても問題ありません。

  • 営業時間9時~17時
  • 年内は12月28日まで、年始は1月4日より営業いたします、など

本文の書き方

さらに詳しいメール本文の書き方を、例とともにご紹介します。

宛名

宛名はメールの一行目に社名+部署名+氏名の順番で記載するのが基本です。

社名
部署名
氏名

と、一行ずつ改行して書きましょう。

  • 個人の場合:「○○株式会社××部 山田太郎様」
  • 個人で役職がある場合:「○○株式会社××部 部長 山田太郎様」
  • 団体の場合:「○○株式会社 ××部御中」
  • 特定の部署の複数人へ送る場合:「○○株式会社 ××部各位」

名乗る・挨拶

メールの冒頭で簡潔な挨拶と一緒に名乗ります。

  • 社内の人宛:「お疲れ様です。山田です」
  • 社外の人宛:「お世話になっております。○○株式会社の山田です」

本題

挨拶の後にすぐに本題に入ります。

  • 結論から先に述べる。
  • 一文は30文字以内を意識する。
  • PREP(結論・理由・事例・まとめ)や5W(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ)3H(手段、量、金額)で本文を構成すると内容が伝わりやすい。

締めの挨拶

締めの挨拶も、冒頭の挨拶同様簡潔にします。ポイントは「○○」+「よろしくお願いいたします」です。

  • ご検討のほどよろしくお願いいたします。
  • お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  • ご連絡お待ちしております、よろしくお願いいたします。

ビジネスメール例文

実際のシーンごとに使える、ビジネスメールの例文を紹介します。

相手を催促する

相手へ催促をするメールは、「本題」「確認のためにメールを送った」「期限」「行き違いを詫びる」の4つで構成します。

本題+確認のためにメールを送った

〇月×日にご依頼した「○○」に関して、貴社よりまだお見積もり書をいただいておりません。念のため、ご確認のメールをさせていただきました。

期限

恐れ入りますが、社内ミーティングで検討いたしますので○月×日(○)までにご送付のほどよろしくお願いいたします。

行き違いを詫びる

なお、本メールと行き違いになっている場合はなにとぞご容赦ください。よろしくお願いいたします。

お礼を伝える

お礼を伝えるメールは、「お礼の言葉」+「伝えるべきことがあれば合わせて入れる」+「今後のお付き合いもお願いする」の3つで構成します。

お礼の言葉

本日はお忙しい中弊社までご足労いただき、誠にありがとうございました。

伝えるべきことがあれば

佐藤様からご質問をいただきました、弊社の新規事業の具体的な内容につきましては、近日中に詳しい資料をまとめた上で、佐藤様宛にご送付させていただく予定です。

今後のお付き合いもお願いする

今後とも佐藤様及び貴社のお力になれるよう、尽力いたします。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

依頼をする

依頼をする場合は、「依頼する目的や本題」+「依頼内容」+「期限」の3つを必ず含めます。ただ依頼をするだけでは失礼になりますので、「お忙しいところ恐れ入りますが」など、相手を気遣うフレーズも忘れないようにしましょう。

依頼する目的や本題

この度弊社では、来年春向けの新商品の開発に取り組むことになりました。新たな顧客層を開拓するために、従来とは違うパッケージデザインにしたいと考えております。

依頼内容

そこで、デザイン決定後、貴社へのパッケージ印刷および製作依頼を検討しています。これからパッケージのデザインや予算、発売時期の調整に入りますので一度、お見積書をいただけないでしょうか。

  • PE素材外装・内装 印刷および加工
  • 外装ミドルサイズ×100セット、内装〇メーター×100本

期限

お忙しい中恐縮ですが、次回打ち合わせ時に参考にしたく、○月×日(○)までに山田宛にお送りいただけると幸いです。

お詫びをする

本来お詫びは電話や訪問の上で行いますが、緊急の場合は取り急ぎメールでお詫びをする場合もあります。お詫びのメールは「お詫びの言葉」+「対応方法」+「再発防止に努める」ことを記載します。

お詫びの言葉

このたびは貴社への納品品目に間違いがあり大変申し訳ございませんでした。

対応方法

確認いたしましたところ、正しいご注文品目は「おいしいりんご飴」×1ケースでしたので、代替品を弊社担当(佐藤)が貴社までお持ちいたします。本日午前中にお届け予定です。最初にお届けした「おいしいいちご飴」×1ケースはサービスとさせていただき、正しい品目に訂正した上、1ケースにてご請求させていただきます。

再発防止に努める

ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。再度このようなことがないように、細心の注意、確認を徹底いたします。今後とも、よろしくお願いいたします。

ビジネスメールの注意点

プライベートのメールの使い方のままビジネスメールを使うのは厳禁です。ビジネスメールだからこそ押さえておきたい注意点を6つ見てみましょう。

適度に改行を

忙しいビジネスシーンでもすぐに読めるように、簡潔・読みやすさを重視します。メール本文は適度に改行をしましょう。

誤字脱字

誤字脱字は失礼にあたります。送信前にもう一度確認しましょう。誤字脱字はうっかりミスから言葉の誤用を間違って理解している場合までありますので、社会人として正しい表現を身に着けましょう。

顔文字・(笑)などは使わない

メールは気軽なツールとはいえ、やり取りを行っているのはあくまでビジネス上です。プライベートのメールと同じように顔文字や(笑)の使用は避けましょう。

宛名は間違っていないか

宛名間違いは大変な失礼にあたります。送信前に相手の会社名、部署名、氏名が正しいか確認しましょう。

用件は簡潔に伝わるか

本文は用件を冒頭に、簡潔に伝わるように書きます。PREPや5W3Hを意識しましょう。

重要・複雑な件は電話と併用

メールだけで本件が伝わらない場合や、大変な迷惑をかけてしまったお詫びのメールなど、重要で複雑な用件はメールだけで解決しようとせず、電話と併用します。

添付ファイルを付けるときの注意点

メールにはファイルを添付して送付できますが、添付ファイルによって相手に迷惑をかけてしまう場合があります。添付ファイルをつけるときの注意点を見てみましょう。

安全な添付ファイルをつける

開いたとたんにウィルスに感染してしまうファイルは、当然迷惑メールです。必ずウィルスソフトでチェックした上で、安全なファイルを添付するようにしましょう。

ファイルの名前、容量、形式に注意

添付ファイルは、「××様新商品お見積り」(docx形式)など、開く前に内容が分かる名前を付けます。

さらに、容量の大きなファイルは圧縮する、できるだけ汎用性の高いファイル形式にするなどの点に注意して送るのがポイントです。やむを得ず容量の大きなファイルや、特殊なファイル形式で送付する必要がある場合は、送付前に相手に確認を取りましょう。

CC・BCCの意味・使い方

CCは、TOとは別に参考としてメールを確認してもらいたい相手のアドレスを記載します。

例:佐藤課長に依頼されて作成したマニュアルを新入社員加藤君にメールで送る場合

件名:「受発注システム操作マニュアル送付します」
TO:加藤信二
CC:佐藤課長

BCCとは、面識のない複数の人へメールを一括送信したいときに使います。TOやCCでは、受信者に一括送信した人全ての氏名やメールアドレスが記載されてしまいます。BCCを使うことで、一括送信したほかの受信者の氏名やメールアドレスが記載されなくなるため、個人情報の漏洩が防げます。

返信するときの注意点・ポイント

メールは送信するだけでなく、返信もします。ビジネスメールにおける3つの返信ポイントを見てみましょう。

できるだけ早く返信する

返信が必要なメールをそのままにしておくと、その分だけ相手の手を止めてしまうことになります。電話と同じく、メールも受け取ったらできるだけ早く返信をしましょう。

件名の「Re:」は適切に削除しよう

返信時に件名に着く「Re:」は、返信であることが分かるため一回ならそのままで返信して問題ありません。

ただし、メールのやりとりが続いて「Re:Re:Re…」と2、3個続く、またはメールの内容がほかのものに移り変わっているときにはRe:は削除し、件名も新しいものに書き直して返信するようにしましょう。

引用を利用しても◎

引用とは、相手のメールの本文を自分のメールの本文に記載することです。引用を上手に活用すれば、相手とのやりとりもよりスムーズになります。

引用する箇所には「>」(半角)を用います。

【例】

>11月30日の15時、貴社にお伺いしたく存じます。
>ご都合はいかがでしょうか。

こちらの日時で問題ございません。
お越しをお待ちしております。

転送の使い方・ポイント

転送とは、自分が受診または送信したメールをほかの人にそのまま送信できる機能です。転送メールは件名に「Fw:」または「Fwd:」が付きます。転送を使うと、参照してほしい文章や内容をそのまま送れるためとても便利です。

使う時の注意点は2つです。

  • 必ず転送メールを送った理由や前提を含む「前置き」を書く
  • 転送するメールの本文は改変しない

いきなり転送メールを送ってしまうと、受け取った相手は何のメールか分かりません。必ず転送メールを送った理由や前提を前置きとして記載しておきましょう。また、転送するメール本文はそのまま送ります。

【例】

件名:Fw:会議室使用時のノート記入徹底のお願い

総務の○○さんから届いたメールを転送します。会議室使用時には以下を徹底するようにお願いいたします。

転送メール本文…

もし間違ってメールを送ってしまった場合は?

間違ってメールを送ってしまった場合は、ただちに電話で「メールを間違って送ってしまったこと」と「謝罪」を、ご送信先の相手にしましょう。もしも相手が電話に出ない、不在の場合には「【重要】メール誤送のお詫びおよび削除のご依頼」など、間違いメールを送ってしまったことと謝罪を記載して、メールを送りましょう。

まとめ:よりよいメール対応をするために

メールにおけるビジネスマナーをご紹介しました。メールは気軽で便利なコミュニケーションツールですが、その内容が及ぼす影響は大きいこともあります。送ったメールは取り消すことができないため、送信する前にもう一度、宛名、誤字、脱字や内容に間違いがないか、誰が読んでもわかりやすい内容になっているか、失礼に受け取られる表現はないか、添付忘れがないかなどについて確認することが必要です。それは、メールの向こう側にいる相手への配慮、気づかいです。相手に不快な思いをさせないという思いやりの心が、正しいビジネスマナーを身につける第一歩です。

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2018.12.13

記事の監修者

マナー・コミュニケーション講師:陣内 ちはる

マナーをはじめ、スマイルトレーニング、アンガーマネジメント、マインドフルネスの研修講師を務める。女性向けの自分磨きスクールも主催するなど、個人のウェルビーイング、組織のコミュニケーションビルディングを目指し、多方面で活躍中。

・アンガーマネジメントコンサルタント™️
・マナー・コミュニーション講師
・マナー・プロトコール検定(文部科学省後援)準一級

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