ビジネスシーンで必須とされるビジネスマナー。ところが、そもそもビジネスマナーが何か、何のために身につけるかが分からない人も実は少なくありません。ここでは、ビジネスマナーとは何か、求められる理由、ポイントともに新人教育におすすめのビジネスマナー研修についてもご紹介します。ビジネスマナーについて理解し、自分自身のビジネスマンとしての意識向上や新人教育にお役立てください。
ビジネスマナーとは
ビジネスマナーとは、ビジネスシーンにおける配慮や、人間関係を円滑に進めるための礼儀作法を指します。一般的な「マナー」とは、社会全体の秩序や人間関係を保つための礼儀作法を指しますので、社会全体の範囲をビジネスシーンに置き換えた礼儀作法が、ビジネスマナーと言えます。
ビジネスマナーが求められる理由
ビジネスマナーは、ビジネスシーンに関わるすべての人間関係を円滑にするために求められます。社会人として適切な立ち居振る舞いや心配りを身につけることで、ビジネスシーンでの秩序が保たれ、業務や対人関係が円滑になるのです。
基本的なビジネスマナーのポイント
ビジネスマナーの基本は大きく分けて5つのポイントに分かれます。それぞれのポイントの内容を、求められるビジネスシーンとともに解説します。
身だしなみ
人に不快な印象を与えないよう、身なりを整えることを「身だしなみ」と言います。ヨレヨレのスーツや、カジュアルすぎる服装は、本人は気にならないかもしれませんが、ビジネスの相手がどう感じるかという点からすると、ビジネスシーンにはふさわしくないかもしれません。
身だしなみは相手を尊重する気持ちを装いで示すもので細部に渡る確認が必要です。特にビジネスシーンでは身だしなみが会社の印象を左右する可能性もあります。身だしなみは「清潔感」「上品」「控えめ」であることがポイントですが、さらにビジネスの場合は「機能性」にも配慮が必要です。
挨拶
挨拶は人間関係を築く原点です。初対面の人はもちろん、社内の人、目上の人、TPOに合わせた挨拶を身につけることも、大切なビジネスマナーのひとつです。日常の挨拶言葉は幼い子供でも知っていますが、「知っている」と「出来ている」には大きな差があります。お互いに清々しい挨拶が出来るだけで、職場の雰囲気が良くなり、モチベーションも向上します。
話し方・敬語
自分の伝えたいことを一方的に伝えるだけでは、円滑なコミュニケーションは図れません。相手の立場や気持ちを配慮した伝え方を身につけることもビジネスマナーと言えます。
さらに、日本人として、社会人として敬語が正しく使えることは、必要不可欠な要素です。敬語は、相手を敬う気持ちを表すものです。相手に敬意をこめ、自分をへりくだる日本人らしい文化です。敬語には主に「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。相手を敬うことで敬意を示す「尊敬語」、自分がへりくだることで相手を高める「謙譲語」、「です」「ます」を添えて丁寧さを表現する「丁寧語」です。(「丁重語」「美化語」を入れて5分類)
敬語を正しく使うことも、相手に不快感を与えないビジネスマナーとして重要です。
メール
インターネットの普及に伴い、メールもビジネスシーンにおいて不可欠なコミュニケーションツールとなりました。よって、メールにおいてもビジネスシーンならではの配慮が必要となります。顔文字や絵文字は使わない、半角カナや記号は文字化けの原因になるため避ける、などの、日常生活とは異なったビジネスメールの正しい使い方を身につけることも、ビジネスマナーに含まれています。
ほかにも、社内、社外など、人によって冒頭のあいさつを変える、タイトルの付け方、メールの構成方法、などビジネスシーンでのメール送信のマナーがあります。また、送信時だけではなくメール受信時のマナーも知っておくべきでしょう。特に、近年ではプライベートの連絡ツールとしてもメールが気軽に使われるようになりました。メールに慣れ親しんでいる世代が新入社員として入社すると、プライベートと同じようにメールを使ってしまうことがあります。当然、メールもコミュニケーション手段のひとつですので、社内外、立場によってメールの文面はふさわしいものにしなければいけません。ビジネスにふさわしいメールマナーを身につけましょう。
電話
社内外の人と連絡を取る方法は直接会うだけでなく、電話も使用します。電話もビジネスシーンならではのマナーが求められるシーンです。
特に、近年では携帯電話が普及したことを受けて、家に固定電話がない世帯も珍しくなくなりました。若年層は外部からの電話を受ける機会が失われているため、社会人になって初めて外部の電話応対をする、という場合もあります。従来の電話応対とは異なり、まずは固定電話の出方そのものから教えなければならないため、近年特に変遷したビジネスマナーのひとつであると考えてよいでしょう。
企業間でも証拠が残りやすいFAXやメールが連絡方法として好まれるようになりましたが、緊急性の高い連絡や顧客からなどはいまだ電話連絡が多くなっています。
新人教育におすすめのビジネスマナー研修
ビジネスマナーと言っても主に5つのポイントがあります。さらに、ポイントごとに身につけるべきマナーは細分化されています。これらすべてを企業側が新入社員に教えるのは大きな負担ですよね。
近年ではビジネスマナーに関する新人教育の方法として、ビジネスマナー研修が行われるようになりました。ビジネスマナー研修は、外部から講師を呼んだり、外部の講習に参加したりする方法があります。企業側がビジネスマナーを教える負担も少なくなり、大人数にまとめてビジネスマナーの教育ができるなどメリットも多くあります。さらに、新人教育だけでなく、新しく事業を立ち上げたときや、店舗をオープンさせたときの従業員を対象にするなど、シーンに合わせたビジネスマナー研修の受講も可能です。
ビジネスマナー教育を実施する企業側のメリット
ビジネスマナー研修を含め、ビジネスマナー教育を企業側が実施すると以下の4つのメリットが得られます。
- 社会人として必要なビジネスマナーが身につき信頼できる人材になる
- 社外の人からの好感度が高くなり、企業の印象、評価が上がる
- 報連相など社内でのコミュニケーションが円滑になり人間関係が良好になる
- 社員一人ひとりの自信になり、企業の発展、生産性の向上につながる
ビジネスマナーはビジネスシーンの秩序や人間関係を保つための礼儀作法です。ビジネスシーンで心がけるべきことは、身だしなみや態度、言葉遣い、仕事の進め方など多岐にわたります。ビジネスマナー教育を行えば、身につけるべきこれらのビジネスマナーを効果的に習得でき信頼できる企業人なれます。
また、ビジネスシーンでは社外の人にも多く接します。ひとりの社員が取引先や顧客に対して失礼な振る舞いをすれば、それが会社全体のイメージダウンにつながる恐れがあります。ビジネスマナー教育を行うと、来客時や訪問時、電話やメールを含めた社外の人への適切な応対や心くばりが身につきます。そのことが企業の印象、評価の向上につながるでしょう。
初めて社会で働く新入社員の場合、「報連相」をせずに自分で勝手に仕事を進めてしまう、指示の受け方が分からないという場合があります。ビジネスマナー教育では、報連相を始め、社内での正しい仕事の進め方やコミュニケーションの取り方も習得しますので、仕事が円滑に進められるだけでなく、人間関係のストレス軽減にも役立ちます。
正しいビジネスマナーを身につけると、社会人として相応な振る舞いができるようになります。自分の立ち居振る舞いを人に褒められるなど成功体験にもつながるため、ビジネスマナーを身につけることが本人の自信にもつながるのです。
その自信が仕事への意欲にもつながります。
また、マナーを通して人への思いやりや尊重する気持ちが芽生えるため、社内のコミュニケーションが円滑になり、社会人の悩みの原因で最も多い「人間関係のストレス」の改善にもつながることが期待されます。
それらが、組織の発展、生産性の向上につながることでしょう。
記事の監修者
マナー・コミュニケーション講師:陣内 ちはる
マナーをはじめ、スマイルトレーニング、アンガーマネジメント、マインドフルネスの研修講師を務める。女性向けの自分磨きスクールも主催するなど、個人のウェルビーイング、組織のコミュニケーションビルディングを目指し、多方面で活躍中。
・アンガーマネジメントコンサルタント™️
・マナー・コミュニーション講師
・マナー・プロトコール検定(文部科学省後援)準一級