仕事や業務を適切に進めるために、ビジネスマナーを身につけたい・身につけさせたいと思っても、具体的な方法が分からない人も少なくありません。ビジネスマナーの習得に有効なのが「ビジネスマナー研修」です。ここでは、ビジネスマナー研修の概要や目的、メリットに加えて、ビジネスマナー研修を受ける方法をご紹介します。
ビジネスマナー研修とは
ビジネスマナー研修で身につく「ビジネスマナー」とは何かと合わせて、ビジネスマナー研修の目的やメリット、どんなシーンで受講すべきかをご紹介します。
ビジネスマナーとは
ビジネスマナーとは、ビジネスシーンでの秩序や人間関係を保つ・円滑に進めるための礼儀作法を指します。ビジネスシーンでは、ただ仕事ができるだけでは仕事や業務は適切に進みません。ビジネスに関わる全ての人の人間関係が円滑に進み、秩序を保つための「あいさつ」や「メールの書き方」など、多岐にわたるビジネスマナーがあります。
ビジネスマナー研修の目的・メリット
ビジネスマナー研修を実施する目的は、ビジネスマナーを学び、身につけることです。ビジネスマナーを身につけることで主に2つのメリットが得られます。
- 人間関係が円滑になる
- 受講者の成功体験につながる
ビジネスマナーを身につけることで、社内外の人間関係が円滑になり、仕事や業務も効率よく、円滑に進められるようになります。さらに、受講者本人も正しいビジネスマナーを身につけることで、社内外の人から立ち居振る舞いや態度を褒められる機会が増えるでしょう。これにより、受講者本人の成功体験につながり、社会人としての自信も身につけられます。
ビジネスマナー研修の対象者
ビジネスマナー研修の受講対象者は「ビジネスマナーを身につける必要がある人」です。具体的には以下の3つのパターンが考えられるでしょう。
- 新入社員など、社会人経験がない(少ない)人
- 中途採用社員や派遣社員など、他業種から初めて働く人
- 新しい事業や店舗の立ち上げ時のオープニングスタッフ
新入社員や既卒フリーターなど、今まで社会人として働いた経験が少ない人はビジネスマナーが身についていない可能性が高いでしょう。新入社員研修の一環としてビジネスマナー研修を行うと、仕事の方法と一緒に社会人としての礼儀作法であるビジネスマナーを習得することができます。
すでに社会人経験がある中途採用者は、ビジネスマナーを習得できていることもありますが、ビジネスマナーは業種によって異なる場合も少なくありません。例えば、事務職と販売職では業務内容はもちろん、ビジネス上で接する人の層も異なりますので、業務内容や接する人に応じたビジネスマナーが求められます。よって、新入社員と同じく中途採用者や派遣社員に対してビジネスマナー研修を実施することも珍しくありません。
最後に新しい事業の立ち上げや、店舗の開店時にオープニングに携わる従業員を対象にしたビジネスマナー研修を行うパターンがあります。これは、新しい事業の業務内容や、店舗での接客に対応した新しいビジネスマナーを習得する必要があるからです。さらに、新しく事業や店舗を立ち上げた時には、今後の事業や店舗を円滑に展開するために新規の顧客をどれだけ獲得できるかも重要です。よって新規の顧客獲得につなげられる、正しいビジネスマナーを習得する目的もあります。
ビジネスマナー研修で学べること
ビジネスマナー研修を受講すると、主に5つの分野におけるビジネスマナーを学べます。具体的にどのようなビジネスマナーが身に着くのかを見てみましょう。
マナーの基本
社会生活を送る上での基本的なマナーから、ビジネスシーンで必須のマナーまで学びます。
- 挨拶や身だしなみ、姿勢態度など社会人としての基本のマナー
- 健康管理などの社会人としての心構えや顧客意識、協働意識など企業人に必要なプロ意識など
- 上座や下座の位置、名刺交換、役職の上下関係、冠婚葬祭など社会人として必要なマナー
- 職場独自のマナー(タイムカードの打刻、会議におけるルールなど)があれば、合わせて研修することがある。
言葉遣い
ビジネスマナーに欠かせない、正しい言葉遣いを学びます。
- 敬語の使い方
- 挨拶やお辞儀の方法
電話・メール対応
ビジネス上では、社内外の人とコミュニケーションを取るために電話やメールが多用されます。近年では携帯電話が普及し、ビジネス上で正しく電話やメールが使えない若年層も少なくありません。ビジネスマナー研修は、電話やメールにおけるビジネス上のマナーを学びます。
- 正しい電話応対のマナー
- 正しいビジネスメールのマナー
- ビジネス文書のマナー
報連相
仕事は一人では進められません。仕事を円滑に進めるには、社外だけでなく社内でのコミュニケーションも重要になります。上司や同僚など、縦横のコミュニケーションを円滑にするため、ビジネスシーンで必須となる「報連相」の正しい方法もビジネスマナー研修で行います。
- 正しい報告の方法やシーン
- 正しい連絡の方法やシーン
- 正しい相談の方法やシーン
コミュニケーション(話し方・聞き方)
ビジネスマナー自体を学んでも、ビジネスシーンで実践しなければ意味がありません。正しく社内外の人とコミュニケーションを取るためのコミュニケーションに関するマナーもビジネスマナー研修で学びます。
- 来客や接客応対、訪問時のマナー、接待でのマナーなど顧客に対するコミュニケーションのマナー
- 社内行動での基本や報連相を含めた指示の受け方など、社内におけるコミュニケーションのマナー
- 相手に不快感を与えない話し方、聞き方、態度などのコミュニケーションスキル
ビジネスマナー研修の受講スタイル
ビジネスマナー研修では多岐にわたるビジネスマナーが学べることが分かりました。実際にビジネスマナー研修を実施・受講するには主に3つのスタイルがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。これからビジネスマナー研修の主な3つのスタイルをご紹介しますので、ビジネスマナー研修を実施したいシーンに合わせてスタイルを決めましょう。
外部からマナー講師を招く
ビジネスマナーのプロであるマナー講師を外部から招き、講習を開く方法です。
メリット
- プロからビジネスマナーを学べるので安心
- 外部から講師を招くため、社内での人員や時間面での負担が少ない
- 一度に大勢受講する、特定の従業員のみ受講するなど幅広いシーンに対応できる
デメリット
- ややコストがかかる。コスト対成果で比較して利用を決めると良い
- マナー講師によっては正しいマナーが身に着かない場合がある。実績のある外部サービスを利用するなど講師の選び方にも注意する
一般開催されている公開型の講座に申し込む
外部サービスから自治体まで、幅広い団体や企業でビジネスマナー研修を開催しています。これらの公開型の研修や講座に申し込んで受講する方法です。
メリット
- 研修や講座の目的や内容が明確なので、シーンに合わせて選びやすい
- 外部の研修や講座でありながら、比較的安価
- 研修や講座を開くための場所の確保や準備が不要
デメリット
- 研修や講座の日時が決まっているため、希望の時期に必ずしも受講できるとは限らない
- 申し込み人数に制限がある場合がある
- 申し込みや受講を自主性に任せると、受講しない従業員が出る可能性がある
社内で講師を務める
外部サービスを利用せず、社内で講師となる従業員を選出して、ビジネスマナー研修を行う方法です。
メリット
- 従業員の経験や実績を活かしたマナー研修ができる
- 社内で行うため、リラックスした雰囲気で受講できる
- コストが抑えられる
デメリット
- マナー講師を行う従業員に対する負担が増える
- 普段一緒に仕事をしている従業員の場合、なれ合い感が強くなり正しいマナーの習得につながらない
よりよいビジネスマナー研修を実施するためには
効果的なビジネスマナー研修を実施するためには、対象となる受講者の状況・費用対効果・スケジュールなどを考慮する必要があるでしょう。
社内でよほど経験豊富で指導スキルに優れた講師がいる場合を除き、新入社員や店舗・施設の立ち上げ時など外部のマナー研修講師に依頼することが一般的かと思われます。
その際には、自社で必要な人材像や求めるスキルなどを事前にすり合わせた上で、どのような研修を実施するか確認をした上で依頼するのが良いでしょう。
記事の監修者
マナー・コミュニケーション講師:陣内 ちはる
マナーをはじめ、スマイルトレーニング、アンガーマネジメント、マインドフルネスの研修講師を務める。女性向けの自分磨きスクールも主催するなど、個人のウェルビーイング、組織のコミュニケーションビルディングを目指し、多方面で活躍中。
・アンガーマネジメントコンサルタント™️
・マナー・コミュニーション講師
・マナー・プロトコール検定(文部科学省後援)準一級