企業規模や業種職種を問わず、今でも新入社員の初出社日は毎年4月のはじめの平日、という会社がほとんど。入社式を皮切りに、新入社員全員に取り組んでもらう研修の内容についてお困りのご担当者様に、検討するポイントや、基本的な新人研修の内容についてご紹介いたします!
新人研修の内容を決める上でのポイント
専門的な知識を必要とする技術職や専門職など、数ヶ月の座学が必要な職種は除き、仕事として実践しながら知識を身につけられる職務内容であれば、新人だけを集めての新人研修は数日~1ヶ月以内と、比較的短い期間で行なわれることが一般的です。
成長のスピードという点からも、投資と回収という点からも、短時間で効率的に行ないたいものです。そのなかで、優先的に「学ばせるべきこと」の優先順位をつけていきましょう。
会社への理解が深まるか
有効求人倍率が年々上昇し、学生・求職者にとって有利な状況が長く続いています。そのような環境下では、就職活動時期の企業研究はどうしても浅くなってしまう傾向が否定できません。現場やお客様の前に出た後に「こんな仕事をすると思っていませんでした」と言って仕事を辞めてしまう、という話は、決して他人ごとではないのです。
「こんなことは学生のうちに研究しているはず」「一般常識として知っているはず」と決めつけず、商品や仕事の流れをイチから理解させるように設計しましょう。
現場で活かせるか
どんなに世の中で「社会人として必要最低限の知識」とされている研修でも、会社に必要のない知識であれば必要ない研修です。
「研修ではそんなこと教わりませんでした」
「研修と違うのですが…」
こんなことになってしまっては、意味がありません。必ず現場社員の視点で、「活かせるか」というチェックをしましょう
社員・経営陣も巻き込む
研修については人事担当者にお任せ、という会社も少なくないのですが、新入社員と「会社のメンバー」をつなげる機会もこの期間に持たせたいところです。特に、新人を配属しない部署に関して、積極的に交流させましょう。
人数と部署、採用環境を基準に見直しを
毎年新入社員は〇人と決まっている、という会社は別ですが、採用人数や配属する部署などによって、効果的な研修は変わります。定期的に見直しの機会を持ちましょう。
基本的な新人研修の内容
次に、一般的に新人研修で提供する内容についてご紹介します。
会社・事業の理解
新入社員であろうと、お客様の前に出ればその会社を代表するいち社員です。配属する部署が違ったとしても、入社3年目~5年目程度の若手社員が身に着けている商品知識や会社の歴史については、いつでも確認できるように提供しましょう。
ビジネスマナー
新入社員に対しての「はじめの評価」を決めると言っても過言ではないのが挨拶です。名刺の渡し方、電話の取り方と言った「場数」でできるようになるビジネスマナーももちろん大切ではありますが、「きちんと新入社員らしい挨拶ができているか」をしっかり指導しましょう。点数をつけて評価するのもよいでしょう。
基本的な業務スキル
実際の仕事についてはOJTで、という企業が少なくありません。
意外と忘れがちなのが、社内の部署とその業務内容や、交通費精算のルール、会社で利用するビジネスフォンの使い方(内線の回し方など)、社内システムのアクセス方法、就業規則などの業務で知っておかなければならない細かいことです。「現場で教えてもらえばいいでしょ?」と考えがちですが、部署や職種を問わず、一斉に教えられること、現場の負担感を軽減する点でも研修に組み込んでおくことをお勧めします。
新人研修の方法・流れ
一般的な研修の流れについて、確認しましょう。
Off-JT(集合研修)
Off-JT(off-the-job training)、実際の業務中ではない場面で行なうトレーニング、多くは集合研修で行なわれます。
Off-JTの最大のメリットは、外部の専門講師を活用しやすい点です。
外部の専門講師の場合、研修を行う時期以外に人材を自社で抱えずに済むこと、毎年一定の研修ができること、「会社としての考え方」ではなく、「社会一般としての考え方」として厳しい指導も提供しやすいことなどが挙げられます。
配属先でのOJT
配属先でのOJTは、どのような仕事でも必須の研修です。新入社員などに渡す資料の作成や、評価シートなど、活用できるものは共有していきましょう。
随時面談などでフォロー
配属後も、定期的に人事と新入社員が交流・フォローする会社は少なくありません。配属先が遠方など、直接面談することが難しい場合はアンケートなどを活用してはいかがでしょうか。
新人研修実例
加賀屋
新人研修の「王道」としてご紹介するのは、行き届いたおもてなしで人気を誇る旅館、「加賀屋グループ」の新入社員研修です。
大卒新入社員の場合、約1か月間の集合研修が行われます。ビジネスマナーや接客の基礎、同期社員との絆を深めるためのグループワークといった一般的な内容ですが、徹底して一流のプロ講師から「カタチ」を反復して学ぶというものです。
考え方から入るよりも、まずは「カタチ」を徹底して身につけさせるという点に、こだわりを感じます。
タクシー会社
注力している観光タクシー事業において、新卒採用したドライバー人材を新人研修で育成します。
新卒で採用した人材の「ビジネスマナー」および「接遇」スキル向上のための研修を月に1~2回の頻度で集合型にて実施。講師であるマナーと接遇のプロから定期的に研修を受ける機会をつくることで、新入社員の入社後の成長や課題を確認することができる点が継続して研修を実施することのメリットと言えます。
また、Off-JT型で新入社員が集まる場をつくることで、同期間での結びつきやメンタル・モチベーションのフォローにもつながっています。