内定通知を出したら、今年の新卒採用は無事終了…というわけにはいかないのが昨今の採用環境です。大手、中小の企業規模を問わず、「内定辞退者ゼロ」という企業様はほんのわずかしか存在しないと言っても過言ではありません。
そんな環境下で重要性を増している内定者研修。「参加させることに意義がある」などとお考えではありませんか?内定者も企業側も「内定者研修があってよかった」と感じられる研修実施を目指しましょう!
内定者研修の重要性とその目的
内定者研修には複数の目的があります。どの目的を優先して考えるかで、設計すべき内容が異なります。
辞退率の減少のため
企業規模を問わず、新卒採用をしている企業のほとんどが何らかの内定者フォローを実施していると言っても過言ではありません。
その内容や頻度には大きな違いがあるものの、「何も伝えられず、何もしないで入社日を迎える」のでは、学生が不安を感じてしまうのは当然です。内定通知後の企業対応で辞退を決める学生は少なくありません。
入社後のスムーズな就業のため
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど、入社後業務に必須の資格がある場合など、時間のある学生の間に取得を支援するケースから、「社会人としての心構え」のようなモチベーションコントロールまで、入社後にスムーズに業務がスタートできるように準備させる目的です。本来的にはもっとも重要な目的と言えるでしょう。
翌年度の採用のため
内定者と人事とのコミュニケーションを増やし、翌年度の採用のために後輩学生の紹介を依頼したり、内定者として選考会のフォローを依頼するなど、翌年度の採用のコンテンツとして内定者に活躍してもらうという目的です。
内定者研修を実施する時期
内定者研修の実施時期として、一般的なタイミングとその理由をご紹介します。どの時期を選ぶにしても、学生としてやるべきこと・やりたいことを優先できるように配慮が必要です。
内定通知と同時
集合型研修などではなく、定期的に人事とやり取りをするきっかけの一つとして導入されるe-ラーニングや新聞の定期購読など、入社直前まで続くタイプ
内定式と同日に実施
内定式を実施する日程として、今でも多いのが6月1日か10月1日。内定者が一堂に集まるタイミングでの集合研修の実施が多い
夏休み期間中
大学4年生は、卒業論文や単位の取得など、学業を優先すべきとして、研修を実施する際は夏休みに短期間で終わらせるなど、配慮が必要
入社直前の3月下旬
入社直前の配属面談や、引っ越しが必要な学生への説明などの出社機会に研修を実施するタイミング。入社までの期間が短いため、ビジネスマナーなどすぐに役立つ内容は後半に設定する
内定者研修の内容を考えるときのポイント
内定者研修で教える「知識」は会社によって異なりますが、どんな業種でも意識したいポイントをご紹介します。
同期とチーム感を得られる内容を
内定者が複数人いる場合、同期との交流ができ、名前と顔が覚えられるようなプログラムを組みましょう。3人~5人くらいのチームで一つの課題に取り組む、2人ペアを何回か交代で組み合わせるなど、人数を調整しながらなるべく多くの同期入社同士が交流できるようにします。
役に立つ知識・スキルが得られる内容を
キャリタスリサーチが発表した『調査データで見る「内定者フォロー」2017』(https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/naitei201705.pdf)によると、学生が「受けてよかったと思う課題や研修」結果は以下のようなものでした。
- 資格取得・業界特有の専門知識…78.4%
- ビジネスマナー…66.7%
- 英語…66.4%
- ビジネススキル…59.6%
- 社会人としての心構え…56.9%
- PCスキル…52.1%
- その他…29.0%
実際の仕事で必要不可欠な「知識」について、比較的時間のある学生時代から取り組めたことを、前向きに考える学生像が浮かびます。
会社への愛着が増す内容を
社史、過去の商品、お客様からの声など、「この会社の一員として働くことに誇りを感じられる」と思える内容を意識しましょう。
内定者研修で教えるのにおすすめのスキル
内定者研修のなかでも、集合研修で教えるのにおすすめのスキルをご紹介します。
ビジネスマナー
実施率が最も高いビジネスマナー研修。すでにビジネスマナーの本などを利用して自分で学習している学生も少なくありませんが、入社後の「本番」前に実戦形式で練習することが大切です。「営業職だけでいい」と、一般職や事務系、技術系にはビジネスマナー研修をしないケースもありますが、内定者としての一体感を持たせるためにも、全員に実施したい内容です。
Excel・パワーポイント
業務の効率化という点でも必須なoffice、なかでもExcelとPowerPointの使用頻度が高いならぜひ入れたい研修です。スマホの影響で、PCの利用経験が少ない学生が少なくありません。
具体的にどんな内容の研修が多い?
先ほどの調査データから、「就職決定企業から内定後に出された課題や研修の種類」を最後にご紹介します。
- 通信教育(e-Learning含む)…43.7%
- 近況報告などレポートの提出…25.3%
- 集合型の入社前研修…24.7%
- 課題図書、新聞の定期購読など…24.0%
- 内定先でのアルバイト・インターンシップ…10.6%
- 通学型の入社前研修…3.7%
- あてはまるものはない…23.1%
業務ではない以上、内定者研修は学生の「任意」に基づくもの、という視点は欠かせません。研修は多ければ多いほど良いわけではなく、学生のモチベーションを最大限に上げる「ちょうどよいボリューム」を目指して、毎年調整することが求められます。