マナー研修は新人だけのもの?中堅社員にマナー研修をする狙いと効果とは

名刺の渡し方、電話応対の仕方、お茶の出し方…入社して真っ先に受ける研修の代表と言ってもいいのが、マナー研修です。企業規模や業種、職種に関係なく必要で、外部研修の選択肢や開催場所も多いため、受けたことがある方のほうが多いのではないでしょうか。

その一方で、「最近の営業マン、基本的なビジネスマナーがなっていないな…」というお声を経営者さまからお伺いする機会が増えています。

マナーに関する本やホームページなど、知りたいと思ったらすぐにアクセスできる情報はたくさんあるにもかかわらず、いったいなぜ、このような疑問を持つ経営者様が増えているのか、また、その解消方法について解説していきます。

「身についている」とはどういう状態?

名刺の渡し方、というビジネス上でのほんのワンシーンだけでも、注意事項が山のようにある名刺交換。マナー研修の実技指導にでてくる場面ナンバーワン、と言ってもいいかもしれませんね。

営業職の方や、外部の企業との打ち合わせが多い方なら、日常の業務のなかでも常にやり取りしていることになります。新人のころに受けたマナー研修、しっかりおぼえていらっしゃいますか?

名刺交換の注意事項を5つ以上、あげられますか?

さて、ここでいったん読み進めるのをやめて、「新入社員に教える、名刺交換の注意点」について、5つ以上メモしてみましょう。制限時間はありませんが、思いつくことはすべて書き出してください。

…いくつ書くことができましたか?

答え合わせをしてみましょう。

【名刺交換のマナー・注意事項】

  • 名刺は名刺入れに。手帳や財布に入れてはいけません
  • 座ったまま、テーブル越しの名刺交換はNG
  • 目下の者が、先にお渡しする
  • 目上の方から順にお渡しする
  • 見た目だけで先方の目上・目下を判断しないよう注意
  • 名刺は先方よりも下方向からお渡しする
  • 両手で頂戴するのが基本
  • 同時になったときも、できるだけ先方に先に受け取っていただく
  • 社名やお名前に自分の指が掛からないようにする
  • その場できちんと目を通す
  • お客様の前でメモを書き込んだりしない
  • すぐにしまい込まない
  • 名刺交換をしていただいたら、「お客様」ではなくきちんとお名前でお呼びする

忘れるもの、という前提で

ビジネスマナーは、一回の研修ですべて身につくものではありません。

「使わないと忘れてしまうもの」
「使っているうちに、オリジナルに変わってしまうもの」

ビジネスマナーに限ったことではありませんが、繰り返し、反復して身に着けていくものです。

また、「身についている」とはどういう状態を指すのでしょうか。

それは「人に、具体的に指導ができる」というレベルです。「なんとなくこんな感じだから!」という状態では身についたとは言えません。きちんと言葉にしてひとに伝えられるか、意識することが必要です。

先輩の姿を見ながら身に着けていくもの

「基本的なビジネスマナーが身についていない人が増えているのでは?」

そう考えるひとが増えているその原因の一つが、「電話のやり取り」についてではないかと思います。

今の20代の社員の方にとって、自分の用事は携帯電話でのやり取りが当たり前。クライアントとのやり取りですら、会社の代表電話ではなく、スマホに直接かかってくることも珍しくないのではないでしょうか。

そして大切なことがもうひとつ。

いま40代以上の方であれば、「お客様との大切なやり取りは固定電話から」と教えられた方も多いはず。自然と、社内で先輩社員がお客様と電話のやり取りをしている姿を見聞きすることが多かったはずです。

営業職であったとしても、資料を見ながら、メールをチェックしながらやり取りをするときは一度帰社して電話をかけていましたよね。

今の20代の方には、そのような機会がぐっと少なくなっています。

個人支給のPCどころか、スマホで外出先でもメールチェック、書類の確認も可能です。リモートオフィスで、デスクに戻らなくても仕事ができます。

そんな環境で、「お客様にお詫びのご連絡をするときは、こういう言い方でお願いするのだな」「やんわりとお断りをいれるときは、こんなふうに伝えればいいのか」といった「先輩社員の姿をみて育つ」という機会はどんどん少なくなっています。

「お客様に予定の変更をお願いするときに、そんな言い方は良くない」「先方が受話器を置いたのを確認してから電話を切っているか?」など、若手社員の仕事の様子を見ながら先輩社員が適宜指導できる環境も、同じように減ってしまっている可能性があります。

 定期的に「確認」をする機会を設けましょう

「こんなことはできて当たり前」

ビジネス環境が変われば、それに伴って変化することはメリットばかりではありません。

ひとりひとり、個々で仕事をする機会が増えれば増えるほど、「間違ったマナー」のまま振る舞ってしまう中堅社員が増加することになります。定期的に、客観的に振り返る機会を導入してみてはいかがでしょうか。

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