これだけは新入社員に教育しておきたい!電話におけるビジネスマナーの基本

職場ではプライベートな電話と違って、ビジネスシーンならではのマナーが必要になります。さらに、コミュニケーション手段でもある電話は、いつでも同じ対応をすればよいというわけでもありません。ここでは、電話のビジネスマナーの基本ポイントと合わせて、覚えておきたい電話応対シーン別の対応方法、やってはいけない電話マナーをご紹介します。

電話のビジネスマナー 基本ポイント

まず、電話応対で常に心掛けたい基本ポイントを4つ紹介します。

明るくはきはきした声で

会社に電話をかけてくる人にとっては、電話を受け取った人がその会社で初めて接する人になります。さらに、相手の顔が見えない電話の印象を決めるのは声のトーンや調子です。明るくはきはきとした声を心がければ、相手からの印象も良くなります。

明るくはきはきした声で電話応対をするポイントは、笑顔で電話に出ること。口角を上げることを意識して電話応対をすると、自然と明るくはきはきした声で応対できるようになります。

手元にはメモ帳を用意

当然ですが、電話の声はメールやFAXと違って目に見える形としては残りません。相手の名前や要件を聞き逃さないように、メモを取るのは電話応対の基本です。あらかじめ電話の手元にメモ帳とペンを用意しておけば、慌てずにメモを取りながらの電話応対ができます。

「もしもし」はNG

ビジネスシーンにおける電話応対では、電話を受けた側が名乗って電話を取るのがビジネスマナーです。「○○株式会社です」と企業名のみを名乗る場合もありますし、「○○株式会社××です」と企業名+自分の名前を名乗って出る場合もあります。

企業によっては「おはようございます」「ありがとうございます」などの挨拶を冒頭につけ、その後企業名+自分の名前を名乗るパターンもあります。より丁寧さを出すために「○○でございます」などの丁寧語で名乗る企業もあります。

企業や業種によって名乗り方は異なりますが、「もしもし」はNGです。会社で決められた名乗り方法で電話に出ましょう。

3コール以内に出る

電話をかけてくる人をお待たせするのは大変失礼です。ビジネスマナーとして、電話がかかってきたら必ず3コール以内に出るようにしましょう。もしも誰も手が離せず、3コール以上電話を鳴らしてしまった場合は「お待たせいたしました、○○株式会社です」、万が一10コールなど長く待たせてしまった時には「大変お待たせいたしました、○○株式会社です」と言葉を添えます。

待たせてしまった場合に「お待たせして申し訳ございませんでした」や「失礼いたしました」とお詫びの言葉を添えることもありますが、こちらも企業によって異なります。必ず企業で決められた電話ルールを理解するようにしましょう。

こんな時はどうする?

ビジネスシーンでの電話応対は、イレギュラーな対応をしなければいけない場合もあります。想定されるであろう6つのシーンと、正しい対応方法をご紹介します。

相手の名前を再確認したい

相手の名前がよく聞こえなかった場合は、相手が名乗らずにいきなり用件を話し出してしまう場合があります。その際は、相手の名前は曖昧にせずに必ず再確認するようにしましょう。この場合のポイントは、必ず「申し訳ございません」や「恐れ入りますが」などのお詫びのフレーズをつけて再確認することです。

  • 相手の名前が聞き取れなかった場合は「恐れ入りますが、念のためもう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
  • 相手が名乗らなかった場合は「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

相手の声が聞こえない

相手の声が小さく、聞こえない場合は「聞こえませんのでもう少し大きく話してください」というのは当然失礼にあたります。この場合は「申し訳ございません、お電話が少し遠いようですが」と相手に伝えるのがビジネスマナーです。相手の声が小さいのではなく「電話が遠い」ということにして、相手のせいではないと伝えるのが大切と覚えておきましょう。

保留が長くなりそうなとき

保留ボタンを押しても、なかなか相手が電話に出ない場合があります。保留を押して相手が30秒以上出なかったらもう一度自分が出て「お待たせしております、もう少し時間がかかりそうですが、いかがいたしましょうか?」と相手の意向を伺いましょう。

クレームの電話だった場合

取った電話がクレームの電話だった場合、自分に非がなくても「ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません」とまずはお詫びの気持ちを示しましょう。焦って「担当者に代わります!」といきなり代わるとさらにクレームの相手に失礼になってしまいます。お詫びの気持ちを伝えてから、「担当の者がお話を伺いますので、申し訳ございませんが少々お待ちいただけますか」と述べ、上司などに電話を代わりましょう。

相手の問い合わせや質問にすぐ返答できない場合

自分で答えられるが少し確認に時間がかかる場合は「お調べしてこちらから折り返しいたします」と答えましょう。その際、どのくらい時間がかかるのか具体的な時間を伝えます。自分で答えられない時には「申し訳ございませんが私ではわかりかねます。担当の者に代わりますので、少々お待ちください」と、担当者に取り次ぎましょう。

緊急だから連絡先を教えて、と言われた時

担当者が外出中に電話がかかってきた場合「緊急の要件でこちらから連絡するので、××課長の携帯番号を教えてください」または「どこに行かれたか教えてください」と言われる場合があります。外出先や連絡先を聞かれても、個人情報に当たるため教えないようにしましょう。この場合は「本人と連絡を取り、至急折り返しいたします」と伝えます。

これはNG!注意点

顔の見えない電話応対だからこそ、気が付かないうちに相手に失礼な対応をしてしまっていることがあります。電話応対でやってはいけない5つの注意点を押さえておきましょう。

語尾の声が小さくなる

だんだんと話し声が小さくなってしまって、語尾が小さくなると電話口の相手が聞き取りにくくなります。相手にこちらの話し声がよく聞こえるように、語尾まで明るく、はっきりと聞こえる話し方を意識しましょう。

復唱しない

必ず相手の名前や連絡先、用件は復唱するようにしましょう。万が一相手の名前を間違えていたときには大変な失礼にあたります。また、担当者が不在で伝言や折り返しの連絡をする時にも、相手の名前や会社名を間違えていると、間違い電話の元になってしまいます。特に、多くの人と電話で接する機会の多いビジネスシーンでは、似た会社名や苗字も多いです。聞き間違いを防ぐために、必ず復唱するようにしましょう。

曖昧な返答をする

相手の質問が分からない場合に「分かりません」と答えるのは失礼です。ところが、分からない質問に対して曖昧な返答やいい加減な返答をするのは、ビジネスシーンでは厳禁。曖昧な返答が元で、大きな損失が出たり、相手に迷惑を掛けたりする可能性も十分高いからです。

質問や問い合わせの内容が分からない場合は、曖昧に答えず「確認して折り返します」または「私ではわかりかねますので、担当者に代わります」と必ず正しい返答ができる対応をしましょう。

電話の相手をたらいまわしにする

相手を何度も待たせたり、担当者が何度も変わったりするいわゆる「たらいまわし」状態は、電話をかけてきた相手を長い間拘束することになり、大変失礼になります。たらいまわしを防ぐために、しっかり相手の用件を聞いてから担当者に取り次ぐようにしましょう。

親しくなっても正しい言葉遣いを欠かさない

日々社内で上司や同僚と接したり、取引先の担当者と電話やメールでのやりとりを重ねたりするうえで、親しくなることがあります。親しくなるとつい電話でも口調がゆるんでしまいがちですが、例え親しくなっても正しい言葉遣いを心がけましょう。親しさと馴れ馴れしさは違います。ビジネスシーンということは忘れずに接しましょう。

正しい電話応対での言葉遣いとは標準語の丁寧語、かつ敬語を正しく使うことです。実はビジネス上では方言はマナー違反とされてしまいます。特に親しい相手に対しては方言やタメ口がついつい出てしまうことがありますが、常に正しい言葉遣いを意識するようにしましょう。

まとめ:よりよい電話対応をするためのポイント

電話応対における基本的なビジネスマナーと、とっさの対処方法、やってはいけない注意点をご紹介しました。電話応対の基本を身に着けても、なかなかうまく電話応対ができないと感じた時には、社内で電話応対の上手な上司や先輩からアドバイスをもらったり、お手本にしたりするのもおすすめです。

電話応対が苦手な新人に身につけてもらいたい!電話のかけ方・受け方別ビジネスマナー

2018.12.13

記事の監修者

マナー・コミュニケーション講師:陣内 ちはる

マナーをはじめ、スマイルトレーニング、アンガーマネジメント、マインドフルネスの研修講師を務める。女性向けの自分磨きスクールも主催するなど、個人のウェルビーイング、組織のコミュニケーションビルディングを目指し、多方面で活躍中。

・アンガーマネジメントコンサルタント™️
・マナー・コミュニーション講師
・マナー・プロトコール検定(文部科学省後援)準一級

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